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DATALE、OCVBが提供する「インバウンド人流分析(検証版)」のダッシュボードを開発

位置情報を用いたオープンデータ化は日本初、観光地域経営の更なる高度化へ

 株式会社DATALE(本社:沖縄県那覇市、代表取締役社長:板谷越 英美、以下「DATALE」)は、株式会社ブログウォッチャー(本社:東京都中央区、代表取締役社長:新村 生、以下「ブログウォッチャー」)と共同企業体を組成し、一般財団法人沖縄観光コンベンションビューロー(会長:下地 芳郎、以下「OCVB」)が、「おきなわ観光地域カルテ」上に本日より公開する「インバウンド人流分析(検証版)」のダッシュボード開発を行いました。

▶インバウンド人流分析(検証版)
https://areakarte.ocvb.or.jp/inbound_prototype

■概要

「インバウンド人流分析(検証版)」は、沖縄県を訪れる訪日外国人旅行者(インバウンド)の人流を、「いつ、どこに、どのくらい、どの地理圏/国・地域から」訪れているのかという観点から、市町村単位で可視化したものです。なお、市町村の粒度で位置情報を用いた訪日外国人動向のオープンデータ化は、日本で初めての試みとなります。

名 称 :インバウンド人流分析(検証版)
公開日 :2025年5月29日(木)
内 容 :
(1)来訪者数分析
(2)発地分析(地理圏別)
(3)発地分析(国・地域別)
形 式 :オープンデータ
URL : 「おきなわ観光地域カルテ」内にて公開https://areakarte.ocvb.or.jp/inbound_prototype
更新頻度:毎月5日前後に、3か月前のデータを公開

■本取組の背景

 これまで、沖縄県における訪日外国人旅行者(インバウンド)の動向は、JNTO(日本政府観光局)が公表する「訪日外客統計」や沖縄県の「入域観光客概況」などを通じて把握されてきました。しかし、それらの多くは県全体の集計値にとどまり、市町村単位での詳細な傾向を捉えるには限界がありました。さらに、日本国内の空港を経由して沖縄を訪れる外国人旅行者については、出発国・地域別の内訳を把握することが難しく、地域ごとに精緻な観光戦略を立案する上での情報が不足していました。

こうした課題を踏まえ、OCVBでは観光地域づくりの高度化をめざし、「インバウンド人流分析(検証版)」を開発。Web上で市町村単位の人流を可視化することで、より精緻かつ実用的なインバウンド動向の把握を可能にしました。

本ダッシュボードの開発を担ったDATALEは、地域の観光協会やDMO、観光関連事業者といった現場の担い手が“実際に使える”ことを徹底的に重視。現場での意思決定や施策立案といったアクションから逆算し、「思考の流れ」に沿って自然に活用できるダッシュボード設計を行っています。

単なるデータの可視化にとどまらず、データが持つ背景や物語を読み解く「データストーリーテリング」の視点を取り入れることで、利用者にとって直感的かつ理解しやすい分析環境を提供。画面を追っていくだけで、地域ごとの人流の傾向を捉え、異常値や特徴的な動きに気づき、施策の振り返りまでを自然に行える構成となっています。

■検証版の位置づけについて

本分析に使用している訪日外国人の人流データは、現在「おきなわ観光地域カルテ」で公開中の国内人流データと比較すると、位置情報の取得スポットの設定や網羅性の面で一部課題が残っています。こうした背景から、今回の公開は“今後の改善と発展を前提とした「検証版」”という位置づけとしています。

とはいえ、使用している訪日外国人の人流データは統計的な精度を担保したうえで取得・処理されており、傾向を把握するうえで十分に参考となる内容であると判断。地域ごとの来訪状況やその変化を可視化することで、地域におけるインバウンド戦略の立案に資する情報として活用いただけると考えています。

今後は、検証期間を通じてログ取得地点の最適化や精度向上、公開範囲の拡張などについて、データ事業者と連携しながら改善を進め、将来的には実務に活用できる「正式版」として「おきなわ観光地域カルテ」への統合を目指してまいります。将来的には、訪問スポットや周遊傾向といった、より詳細な観光行動データの把握も可能とする仕組みの構築を視野に入れています。

なお、2024年3月に公開した「おきなわ観光地域カルテ(国内版)」も、初期段階ではプロトタイプ版として地域と共有し、現場からのフィードバックを反映することで、地域の実情に即した改善を重ねてきました。これらの地域視点に立った改善が、カルテの定着と利活用に繋がったと認識しており、今回の検証版もそのアプローチを踏襲しています。

■「インバウンド人流分析(検証版)」でできること

・来訪者数分析:「いつ、どれくらい来ているか」

 来訪者分析では、市町村別にインバウンド旅行者が「いつ・どのくらい」訪れているかを月別に確認できます。選択した市町村における来訪者数やそのシェア率を可視化し、沖縄県全体の平均と比較することで、地域ごとの傾向や変化を把握することが可能です。たとえば、クルーズ寄港、直行便の就航、実施したプロモーションなどが地域の来訪者数にどのように影響したかを把握することで、観光施策や受入体制の検討材料として活用できます。

来訪者数分析(分析条件:恩納村/2024年3月~2025年2月の推移)

・発地分析(地理圏別/国・地域別):「どこから来ているか」

 発地分析では、選択した市町村に対してインバウンド旅行者が「どこから来ているか」を、地理圏別および国・地域別に確認できます。訪問者数の構成比や来訪者数を把握することで、エリアごとの集客傾向を可視化。県全体との比較も可能で、相対的な強みや課題を分析することができます。

▲発地分析(地理圏別)(分析条件:恩納村/2025年2月の推移)

 まずは地理圏別(東アジアやヨーロッパなど)の分析で、訪問者の大まかな傾向を把握し、その後、国・地域別の詳細分析で特徴的な訪問国を深掘りする流れで確認が可能です。

▲発地分析(国・地域別)(分析条件:恩納村/2025年2月の推移)

 たとえば、ある市町村で特定の地理圏の比率が県全体より高いと分かれば、その背景にプロモーションの影響や訪問動機に合う観光資源がある可能性が考えられます。また、国別に見て特定国の比率が急増している場合、ターゲットに応じた受入対応(言語・食文化・情報発信手段など)を優先的に検討する手がかりとなります。

このように、観光プロモーションのターゲット選定や、多言語案内・商品開発の検討など、地域の観光戦略の手段として活用いただける内容となっています。